事業継承税制の要件緩和
平成30年4月の税制改正により、中小企業者等の自社株の事業承継(相続・贈与)に係る納税猶予制度の
適用要件が緩和され利用しやすくなる予定です。
平成30年4月から5年以内に事業承継計画を各都道府県に提出し、10年以内に実際に承継(相続・贈与)を
行う者が対象となります。
今回は、事業承継税制の要件緩和案について見ていきます。
現行制度では、相続税、贈与税の納税猶予となる対象株式数等に上限が設けられていましたが、要件緩和後は
全ての株式が納税猶予の対象となります。
緩和される要件 現行制度 改正案 納税猶予株式数の割合 2/3 100% 相続税の納税猶予割合 80% 100% 納税猶予の適用対象者 1人の先代経営者から1人の後継者のみ 親族外を含む複数の株主から代表者である後継者(最大3人) 雇用要件 事業承継税制の適用を受けた後、5年間の雇用平均が8割未満の場合は猶予された税額を全額納付 事業承継税制の適用を受けた後、5年間の雇用平均が8割未満でも猶予継続可能(一定の書面の提出が必要)
※ 事業承継者の死亡時まで自社株の納税が猶予され事業承継者の死亡により免除されます。
現行制度では、原則として直系卑属への贈与のみが対象ですが、事業承継税制を受ける場合には、猶予取消し
時に過大な税負担が生じないようにするために、相続時精算課税制度の範囲が拡大されます。
現行制度 改正案 60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫への贈与のみ対象(直系卑属のみ適用可能)
現行制度に加えて、事業承継税制の適用を受ける場合には、60歳以上の贈与者から、20歳以上の後継者への贈与も対象(贈与者の子や孫でない場合でも適用可能)
※ 2,500万円までの贈与について、贈与時に課税せず、贈与者の死亡時に課税する制度です。
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