年金タイプの生命保険金の課税の見直し
相続により取得した年金タイプの生命保険金の支払に所得税を課す事の是非が問われた訴訟で、平成22年7月6日に最高裁判所は、所得税を課すことについて違法とする納税者側の主張を認める判決を行いました。これに伴い課税当局がこれまでの課税上の取り扱いを改めることを明らかにしており、関心が集まっています。
今回は、年金タイプの生命保険金の課税について詳細を見ていきます。
今回の裁判では、年金として受け取る金額2,300万円(年額230万円)のうち元本部分として相続税が課税された1,380万円に、更に所得税を課すのは二重課税にあたるかが争点となりました。最高裁判所の判決では元本部分に相続税と所得税を課すのは二重課税にあたり違法であり、少なくとも1年目の受取額230万円については、受取額230万円と現在価値元本部分230万円とが一致する為、全額所得税の対象とはならないとの判断が下されました。
これにより1年目に所得税が課税され納付した分については還付請求をすることができる事になります。
ただし、2年目以降に受け取る年金には相続後に発生する運用益が含まれる為、この運用益部分については所得税が課される可能性があります。
国税庁は今回の最高裁判所の判決を受けて、還付請求可能期間の過去5年間に生命保険会社から支給されている年金タイプの生命保険金のうち、相続税の課税対象となった年金受取額の元本に係る部分の所得税で過払いとなっている分について10月下旬から還付請求できることを発表しております。また過去5年を超えて過払いとなっている方についても、所得税の還付を検討する事を発表しています。
また2年目以降の年金受取額に生じる運用益に係る部分の所得税の課税については、今回の最高裁判所の判決で具体的な判断が示されておらず、国税庁が今後どのように取り扱うのかが注目されています。
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