贈与税の相続時精算制度
平成15年の税制改正において、高齢世代の保有する資産を次世代に円滑に移転させる観点から相続税及
び贈与税の制度の見直しが行われました。そして、先月、その目玉として登場した「相続時精算課税制度」を15
年度に選択適用した人が7万8000人にのぼり、1兆1,620億円の資産移転が行われたと発表されました。
今月はこの制度について見てみましょう。
資産の種類 | 住宅取得等のための資金 | その他の資産 |
適用対象者 | 贈与者 → 親(年齢制限なし) 受贈者 → 20歳以上の子 |
贈与者 → 65歳以上の親 受贈者 → 20歳以上の子 |
贈与時非課税枠 | 3,500万円 | 2,500万円 |
適用手続 | 最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに所轄税務署長に「届出書」を「贈与税の申告書」とともに提出。贈与者が亡くなるまで適用される。 |
(1) 贈与時の税額
{ 贈与額 − 3,500(又は2,500)万円 } × 20%
非課税枠内で複数年利用可
(2) 相続時の税額
{(贈与額+相続額) − 相続税基礎控除額 } × 相続税率 − (1)で払った贈与税
【 ポイント 】 贈与時に払った贈与税を相続時の相続税から差し引くことができる!
《 事 例 》
相続人が1人、生前贈与は1,500万円をその他の資産で2回受けていて親の相続財産が4,000万円の場合
相続時 精算課税 |
適用する | 適用しない |
贈与税額 | 贈与額 特別控除額 税率 1回目 (1,500万-2,500万)×25% = 0 2回目 {(1,500万-(2,500万-1,500万)}×20%=100万 |
(1,500万-110万)×50%-225万=470万 |
相続税額 | 贈与額 相続額 基礎控除 税率 {(3,000万+4,000万)-6,000万}×10%=100万 相続税額 既納付贈与税額 相続時納付税額 100万 - 100万 = 0 |
相続税 基礎控除 税率 (4,000万-6,000万)×10%=0 |
合計税額 | 100万円 | 940万円 |
条件によって、適用したほうが有利な場合、適用しないほうが有利な場合、他の制度を使った方が有利な場合等いろいろなケースが考えられますので、これを機会に年末までに検討してみましょう。
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