H16.2 個人不動産の譲渡損の通算が廃止される
先月12月17日にだされました平成16年度の税制改正案で、個人所有のマイホーム以外の不動産の譲渡損失が他の不動産の譲渡による所得以外の所得との損益通算や繰越控除ができなくなる予定です。
これは、含み損のある投資用不動産等を売却して損失を実現させることで給与所得や事業所得と通算(差引)する節税を防止しようというものです。今回はこの改正案について見てみましょう。
現行 | 改正案 | |
適用対象 | 個人が所有する事業用又は投資用の不動産(土地、建物)の 譲渡損失(所有期間5年以下のマイホームを含む) |
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損益通算できる所得 | 株式以外の譲渡所得、事業所得 給与所得などの他の所得と相殺可 |
他の土地、建物の譲渡所得とのみ相殺可 |
損失の繰越控除 | 翌年以降3年間の黒字と相殺可 | 繰越不可 |
現行では不動産の譲渡損を、株式以外の他の譲渡所得と通算してもまだ損失が残る場合は事業所得などの他の所得と通算できます。それでも損失が残る場合に繰越控除できます。
改正案が成立すると、その年度の不動産の譲渡所得としか通算できません。
(改正後事例) ・ A土地の譲渡損とB土地の売却益(不動産の譲渡所得) → 通算可 ・ 土地の譲渡損とゴルフ会員権の譲渡益(不動産以外の譲渡所得) → 通算不可 ・ 土地の譲渡損と給与所得(不動産以外の所得) → 通算不可 |
現 行 | 改 正 案 | |
青色申告 | 事業所得等との損益通算 〇 ↓ ・翌年以降3年繰越控除 〇 ・前年へ繰戻還付 〇 |
不動産譲渡以外との損益通算 × ↓ ・翌年以降3年繰越控除 × ・前年へ繰戻還付 × |
白色申告 | 給与等との損益通算
〇 ↓ 翌年以降への繰越控除 × |
不動産譲渡以外との損益通算 × ↓ 翌年以降への繰越控除 × |
〇は適用可、×は適用不可
※ この改正案は平成16年4月1日に成立し、平成16年1月以降の売却分から適用される予定です。
※ マイホームの譲渡損の取り扱いについては次回ご案内させていただきます。
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