H14.11 消費税の簡易課税制度
 

 課税事業者の納付する消費税額は、原則として課税期間の売上に対する消費税額から仕入等に含まれる消費税額を控除した金額になります。しかし、記帳義務や計算の煩雑さなどの事務負担が重いことから、それらの軽減を目的とした簡易課税制度という方法があります。今回は、この簡易課税制度について見てみましょう。





 納税事務の簡素化の観点から、仕入控除税額(仕入等に含まれる消費税額)を簡易な方法により算出するもので、原則法と比較するとすると次のような特徴があります。
(1)  仕入控除税額を個々の取引ごとに課否判定し、積上計算する必要がない。
(2)  売上に係る消費税に「みなし仕入率」を乗じた金額が仕入控除税額とみなされる。




 事業者が簡易課税制度を適用するためには、次の要件が必要です。

(1) 課税事業者であること。
(2) 基準期間(前々年)における課税売上高が2億円以下であること。
(3) 原則として、簡易課税制度の適用を受けようとする期間の前期末までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を納税地の所轄税務署長に提出していること。




 納付税額の計算方法が原則法の場合と異なります。

原則法 納付税額 = 売上に対する消費税額(課税期間の課税売上高)×5%  ―  仕入等に含まれる消費税額(課税期間の課税仕入高)×5%
簡易課税 納付税額 = 売上に対する消費税額(課税期間の課税売上高)×5%  ―  仕入等に含まれる消費税額(課税期間の課税仕入高)×みなし仕入率




 仕入控除税額を計算するのに使用する割合のことです。事業(売上)の種類によって異なりますので、一社で2種類以上のみなし仕入率が適用される場合もあります。

事業区分 みなし仕入率 該当する事業
第1種事業 90% 卸売業
第2種事業 80% 小売業
第3種事業 70% 農業、林業、漁業、鉱業、建設業、製造業、電気業、ガス業、熱供給業及び水道業
第4種事業 60% 第1種から第3種事業及び第5種事業以外の事業
第5種事業 50% 不動産業、運輸・通信業、サービス業(飲食店に該当する事業を除く)


●消費税の納税額は、原則法と簡易課税制度の選択により差が出てきますので、どちらが有利か慎重に検討して選択することが大事です。また、簡易課税制度を適用すると、2年間は継続適用しなければならないので、注意が必要です。







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